【書評】Wanhoの読書備忘録

ワンホの本要約ブログ

「本の要約」をわかりやすく書いていきます。

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『偉大な発明に学ぶアイデアのつくり方』

早稲田大学EDGEプログラム講師である三原康司氏が2016年に執筆した本書は、「どうすれば閃きが生まれやすくなるか」をテーマとした「思考展開法」を解説した一冊です。

著者は、イデアを生み出すのが得意な人は「考える方法(閃きの手順)」を知っている、と言います。その手順が優れているかどうかによってアイデアの量と質に大きな差がつくのです。

本書では、新しいアイデアを閃かせる「思考展開法」を詳しく解説しており、この方法はビジネスから個人の問題解決まで広く活用することができます。

それでは、内容を見ていきましょう。

Wanhoの個人的評価

読みやすさ ★★★★
新規性 ★★★★
有用性 ★★★★
おすすめ度 ★★★★

本書のハイライト

「シーズ」と「ニーズ」のマッチング

身の回りにある商品の多くは、シーズとニーズをうまくマッチさせることによって生まれた発明である。

  • 「シーズ(種)」:技術やノウハウのこと
  • 「ニーズ(必要性)」:人々が欲しいと感じているものやこと

例えば、レインコートは「石炭からガスを製造する過程で生じる廃棄物から得られる防水性の溶剤」というシーズ+「雨の日にも洋服を濡らさないで出かけたい」というニーズのマッチングから生まれた。

イデア作成の手順

イデアは「知識」「経験」「考える力(思考展開法)」の掛け算によって生まれる。アイデア作成の手順は以下の通り。

  1. 出発点を決める
  2. 隠れたニーズの発見・創出
  3. ニーズを実現できるシーズを見つける
  4. シーズを使って実現する手段を考える
  5. 手段を実行し次のアイデアの素を見つける

3つの質問

「思考展開法」の最大の特徴は、自問自答形式で考えること

グループで議論したり、専門家や経験者の意見を聞くことも効果的だが、何より重要なことは「個の力」。思考展開法のメリットは、自分一人で個の力を高められること。

イデアを実現するためにはニーズ、シーズ、手段が必要。これらを発見するために「3つの質問」を行う。

「3つの質問」
  1. それは何のため?(目的)
  2. それができると何ができる?(可能性)
  3. そのためには何をする?(手段)

①は上位目的を追求し、真の目的から新しいニーズを発見しようとする思考法。②はすでにある技術、つまりシーズからアイデアを広げる思考展開。③はこれまでの2つの展開で出てきたニーズやシーズを実現する手段を見つけることに使う。

①により上位目的を追求することで、現在の延長線上にない技術やノウハウを考えることができる。革新的な案となる可能性は、展開が上位の目的まで行けば行くほど高くなる。

②はできてしまった技術の活用方法を探る時に役立つ。自分たちができる価値を提供し、市場を創出・拡大する可能性があるものやことを考えることができる。例えばポストイットは、偶然できた「簡単に剥がれてしまうが、繰り返し貼り付けられる糊」の技術(シーズ)から生まれた。

③は今は実現できないニーズやシーズを出発点にして、技術ロードマップや開発計画などを作成することにも役立つ。

「3つの質問」を用いると、アイデア作成の手順は以下の通りとなる。

  1. 出発点を決める
  2. 隠れたニーズの発見・創出(それは何のため?
  3. ニーズを実現するための隠れたシーズを見つける
    それができると何ができる?
  4. ニーズとシーズをマッチングし、有望と思われるニーズの案を考える
  5. シーズを使って実現する手段を考える(そのためには何をする?

感想

本書からはアイデアを閃くメカニズムやその方法を学ぶことができました。

特に「3つの質問」を自分自身に投げかけることは、アイデア実現のために必要なニーズ、シーズ、手段を発見する助けとなります。

本書で解説されている思考法は、組織であれ個人であれ、アイデアを考え抜くのに非常に実用的な方法と思います。「他人とは異なる革新的なアイデアの発見を目指す人」や「アイデア創出のメカニズムを学びたい」という人は特におすすめです。

ぜひ、ご一読ください。 

目次

Session 1 マッチング
Session 2 思考の双方向化
Session 3 ニーズ思考
Session 4 シーズ思考
Session 5 3つのQ
Session 6 何のため?[隠れたニーズを発掘する]
Session 7 何ができる?[隠れたシーズを見つける]
Session 8 そのためには?[手段を見つける]
Session 9 具体的な企画案へ
Session 10 推論の基礎

著者

三原康司(みはら・こうじ)

早稲田大学EDGEプログラム講師。静岡理工科大学総合情報学部准教授。名古屋商科大学大学院マネジメント研究科客員教授。1958年生まれ。早稲田大学理工学研究科博士前期課程修了後、ソニーに入社。2004年、ヘッドハントによりソーテックのマーケティング本部長に就任。その後、ベンチャー企業を創業し、多くの企業の新規事業開発などのコンサルティングを展開。

偉大な発明に学ぶアイデアのつくり方

偉大な発明に学ぶアイデアのつくり方

 

 

『ネガティブな感情が成功を呼ぶ』

怒り、嫌悪、後悔、退屈、恐怖、不安、悲しみなどの
ネガティブ感情は人生に関する知識を増やし成長を促す働きをする

幸福学研究のディーナー博士が2015年に執筆した本書は、「ネガティブ感情は悪いもの」という社会通念を覆す衝撃の一冊です。

「幸福になりたい」「ポジティブになりたい」と考えていませんか?

これらの考え方にはデメリットがあるのです。一方で、ネガティブな感情には思わぬメリットがあります。自分の感情が何を示しているのか、どのように成功に結びつけられるのかを科学的エビデンスとともに学ぶことができます。

それでは、内容を見ていきましょう。

Wanhoの個人的評価

読みやすさ ★★★★
新規性 ★★★★
有用性 ★★★★★
おすすめ度 ★★★★★

本書のハイライト

幸福の副作用

強い高揚感を経験すると、他の良い出来事が霞んで見えてしまう(対比効果)。

例えば、宝くじで1億円を当てたとする。その後、スクラッチくじで1万円当てても幸福感は下がる。また、幸せな人は今の状態に満足しているために、身の回りにあまり注意を払わず、目の前に起きている事でもよく見ていないことが多い。

幸福になりたい願望が強い人は、孤独感が強く、憂鬱で、目的意識も低い。自分の幸福感とポジティブ思考だけを大事にすると、他者の事は後回しになるため、恋愛関係や家族関係、友人関係の質が損われる。 

ネガティブ感情は時に好ましい結果を生む

ネガティブ感情は「何かがうまくいっていない」「すぐ対応する必要がある」と知らせてくれるシグナルである。怒りやその他のネガティブ感情を押さえ込んでしまうと、それらがなぜ湧いてきたのか、それがどんな行動を促しているのかわからなくなってしまう。

例えば、罪悪感を感じた時は「今感じている罪悪感は、自分がより良い、強い、賢い人間になるために役立つだろうか?それとも逆に自分の足を引っ張っているだろうか?」と自問してみる。

罪悪感によって落ち込んだ人は、そういう気持ちを和らげるために、パートナーや同僚のために尽くすようになる。 

快適中毒

私たちは単に基本的な衣食住の快適さを楽しむ段階を超えて、快適中毒となっている。

例えば、空気清浄機やヒーター付きの車の座席など、快適さの追求はキリがない。

快適な環境に身を置き、ネガティブな状況を避けてばかりいると、人としての成長と成熟が妨げられ、冒険の機会を逃し、人生の意味や目的を掴めなくなる。 

防衛的悲観主義のススメ

防衛的悲観主義とは「最も良い結果を望みながら、最も悪い時代を予想すること」。期待値を低くし、何事もなく済むなど甘いことは考えず、起こるかもしれない悪いことをすべて詳細に想像する。

防衛的悲観主義をとると、明るい面にばかり目を向けてネガティブな考え方や感情を避ける代わりに、物事がうまくいかなかったときの気分をあらかじめ想像できる。

彼らは最悪のシナリオを想像して、厄災を和らげるための計画を実行するため、不安を行動に変えられる。研究によると、防衛的悲観主義は、失敗や失望などへの不安によりよく対処できることがわかっている。 

まとめ

不快な心理状態は成長にとって不可欠なばかりか
成功するためのツールである

著者は、人間の本質の中の暗い側面を機会として捉えることを、基本的で健全な態度として提唱しています。

それは「ありのままの自分の不快な部分」をわずかでも受け入れ、積極的に活用すれば、真の成功を手に入れるチャンスを最大にできるということ。

自分の心の状態を良い・悪い、ポジティブ・ネガティブと決めつけるのをやめて、「その場の状況にとって有益かどうか」と考えるようすることが重要です。 

感想

私たちはつい幸福を求めがちですが、本書を読むと、幸福度を高めようと努力するより、ポジティブもネガティブも含めた全ての心理状態を受け入れ、人生の出来事に効果的に対応することの方が重要であることに気づかされます。

ネガティブな感情にも意味があると考えるだけで前向きに生きられますし、成長の糧にすることができます。これは学問やビジネスだけに収まらず、人生全ての出来事に応用できる考え方と思います。

ぜひ、ご一読ください。 

目次

第1章 幸福を求めるほど不安になるのはなぜ?
第2章 快適な生活がもたらしたもの
第3章 嫌な気分にはメリットがある
第4章 ポジティブな感情こそが落とし穴である
第5章 マインドフルネスに気をつけろ
第6章 不快感をうまく処理するーセオドア効果
第7章 ありのままの自分とつきあう

著者

ロバート・ビスワス=ディーナー(Robert Biswas-Diener)

40点以上の学術論文を発表し、六大陸において何千人もの知的職業人たちに心理学の研修を実施。『ジャーナル・オブ・ポジティブ・サイコロジー』誌 編集委員。著書に『「勇気」の科学 一歩踏み出すための集中講義』(大和書房)。

トッド・カシュダン(Todd B. Kashdan)

ジョージ・メイソン大学教授、同校ウェルビーイング促進センター上級研究員、オーストラリア・カソリック大学ポジティブ心理学・ 教育研究所上級研究員。パーソナリティ、ウェルビーイング、人間関係などの分野を専門としている。 

『「空腹」こそ最強のクスリ』

医学博士であり、あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長の著者 青木厚が2019年に執筆した本書。 

本書では、2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した『オートファジー』研究をもとに生み出された食事法が紹介されています。私自身も実践していますが、誰でも簡単に実践できる、まさに「奇跡の食事法」と言えるでしょう。

この食事法は、医者でもある筆者が生活習慣病の治療を通して得た知識や経験を踏まえて「どのような食事の仕方であれば、最も無理なく、ストレスなく、病気を避けることができるのか?」を考えた結果、たどり着いたものです。

それでは、内容を見ていきましょう。

Wanhoの個人的評価

読みやすさ ★★★★★
新規性 ★★★★
有用性 ★★★★★
おすすめ度 ★★★★★

 

1日3食は良くない!?

1日3食では本来必要な量の1.5~2倍のカロリーを摂取してしまうことになる。食べ過ぎは内臓の疲れや肥満、疲れ明るさの原因となる。糖尿病や動脈硬化脳梗塞心筋梗塞、がんの原因ともなる。

食べ過ぎや糖質の取りすぎによる様々な害から体を守るには「食事のカロリー数を減らす」「糖質を減らす」など、様々な方法が考えられるが、本書でお勧めされているのは『ものを食べない時間(空腹の時間)を作る』というもの。

空腹の時間を作ると、内臓がしっかりと休むことができ、血糖値も徐々に下がる。また、最後にものを食べてから16時間を超えると、体に備わっている『オートファジー』という仕組みが働くようになる。

オートファジーとは

『オートファジー』とは「細胞内の古くなったタンパク質が、新しく作り替えられる体の仕組み」のことで、細胞が飢餓状態や低酸素状態に陥ると活性化することがわかっている。

そもそも体の不調や老化は、細胞が古くなったり壊れたりすることによって生じる。『オートファジー』によって、これらの細胞が内側から新しく生まれ変われば、病気を遠ざけ、老化の進行を食い止めることができる。

つまり、空腹の時間を作ることで、

  • 内臓の疲れが取れて内臓機能が高まり、免疫機能がアップする。
  • 血糖値が下がり、血糖障害が改善される。
  • 脂肪が減る。
  • 体の不調や老化の進行が改善される。

といった様々な『体のリセット効果』が期待できる。

「食べ過ぎ」のデメリット

NHKが2016年に実施した世論調査によると、平日の1日に3食とる人が85%を占めていた。一方で、「1日3食が理想的である」という考え方には、確固たる裏付けはない。むしろ1日3回食事をとると、胃腸をはじめ、内臓が十分に休むことができず疲弊してしまう。

また、身体や健康に様々なダメージを与えることになる。

「食べ過ぎ」のデメリット
  • 体内で炎症が起きやすい
  • 食べ過ぎを招き肥満になりやすい
  • 高血糖になりやすい
  • 老化が進みやすい

 食べ過ぎが慢性化してしまっている時、人はなかなか「自分が食べすぎていること」に気づかない。「食べた後疲れを感じたり、だるくなったり、眠くなったりする」人は「食べ過ぎている」可能性がある。

食事をした後は少し眠くなったりするのは仕方がないが、疲れやだるさ、眠気がひどい場合には、食べ過ぎている、または胃腸などの内臓が弱っている可能性が高い。

本来、食事と言うのは「健康を維持するために、体に必要な栄養を必要なだけ取り込むこと」であり、1日3食にこだわる必要は全くない

半日断食のススメ

それではどんな食事法をとるべきなのでしょうか?

大事なのは、できるだけ無理なく「空腹の時間」を作り、

  • 胃腸や肝臓等を休ませてあげること
  • 脂肪を燃焼させ減らすこと
  • 血液の状態を改善させること

これらを享受するために筆者がたどり着いたのが「16時間以上、空腹の時間を作ると最大の効果が得られる」というもの。これは半日の断食で実現することができる。

16時間は長いと思う人もいるかもしれないが、睡眠時間とうまく組み合わせることで無理なく実行できる。例えば、1日8時間寝ている人は、あと8時間食べずに過ごせば良い。

加えて、難しく面倒なカロリー計算は一切必要ない。空腹時間以外は、何を食べても構わないし、空腹時間中であっても、ナッツ類などであれば食べてOK。週一回、週末だけ実行するとてもリセット効果が得られるはず。

なぜ「16時間」なのか

最後にものを食べて10時間経つと、肝臓に蓄えられた糖がなくなって脂肪が分解され、エネルギーとして使われるようになる。そして16時間経つと、今度は体の中で『オートファジー』が機能し始める

生活していく中で、古くなったり壊れたりしたタンパク質のうち、排出しきれなかったものは細胞内に溜まっていき、細胞を衰えさせ、様々な体の不調や病気の原因となる。

一方で、人は食べたものから栄養を摂取し、必要なタンパク質を作っている。ところが、何らかの原因で栄養が入ってこなくなると、体は生存するために何とか「体にあるもの」でタンパク質を作ろうとする。

そこで、古くなったり壊れたりした細胞内のタンパク質を集め、分解し、それらをもとに新しいタンパク質を作る。つまり『オートファジー』とは、古くなった細胞を内側から新しく生まれ変わらせる仕組みであると言える。

ただし、食物によって得られた栄養が十分にある状態では、『オートファジー』はあまり働かない。『オートファジー』は、体や細胞が強いストレスを受けた際にも生き残れるよう、体内に組み込まれたシステムであり、細胞が飢餓状態になった時や低酸素状態になった時こそ働きが活性化する。

具体的には、最後にものを食べてから16時間ほど経過すると、『オートファジー』は活性化を始める。つまり、「空腹の時間」を作らない限り、『オートファジー』によって細胞を生まれ変わらせることができない

逆に、週に1度でも「空腹の時間」を作れば、内臓を休める、脂肪を減らす、血液の状態を改善するといった効果に加え、『オートファジー』による細胞の生まれ変わり効果を享受することができる。

奇跡の食事ルール

具体的な「半日断食」のルールは以下の通り。

「半日断食」のルール
  • 「睡眠8時間+8時間」の空腹を実行する
  • 食事の際は、何をどれだけ食べてもOK
  • 空腹時間でも、ナッツ類ならいくら食べてもOK

最初のうちは、空腹の時間が終わった途端、ご飯や麺類、パンなど糖質の多いものや甘いもの、牛肉などを食べたくなる。しかし、体が慣れ『空腹力』が鍛えられれば、少しずつそのようなドカ食いをすることは減っていく。

ポイントは、睡眠時間の前後に空腹時間を組み込むこと。これにより、無理なくまとまった空腹の時間を作ることができる。

例えば「夕食をとって2~4時間後に眠りにつき、6~8時間程度睡眠をとり、起きてから5時間以上経ってから食事をとる」など。

素焼きのナッツであれば、低糖質で塩分も少ない半面、良質な脂肪が含まれている。血糖値の急激な上昇を抑えつつ、少量で満腹感を得やすいという特徴がある。

加えて、ナッツ類は「現代人に不足しがちなビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素がバランスよく含まれている、健康や美容に良い」と近年注目されている。

また、ナッツに多く含まれている不飽和脂肪酸が、『オートファジー』を活性化させることも、まだ研究段階だがわかってきている。

断食のデメリット

この食事法の唯一のデメリットは「筋力が落ちてしまう」こと。この食事法を実行する際には、必ず簡単な筋トレを並行して行うこと

空腹の時間を作ると、1日の総摂取カロリーが減り、体重も減少する。その際、内臓脂肪が分解されるが、同時に人体にとって必要な筋肉も落ちてしまう。

食べ物からエネルギーが入ってこなくなると、体は脂肪だけでなく、筋肉を燃やしてエネルギーに変えようとする。筋肉量が減少すると、基礎代謝量が減るため、帰って太りやすい体質になってしまう。

ただし、筋トレとといっても特別なことをする必要はない。「階段を上り下りする」「腕立て伏せや腹筋、スクワットをできる回数だけやる」といった程度のことで十分。無理のない範囲でやることが重要。

感想

いかがでしたか?

今回は、「ストレスなくダイエットでき、病気を避け、健康な体をつくるための食事法」を紹介しました。

冒頭でも述べた通り、私自身も1年ほど実践しており、効果を実感しています。具体的には「夕食は20時までに済ませ、朝食は抜き、昼食を12時に食べる」だけです。空腹時(私の場合は夕食前)は無縁のクルミを食べて過ごしています。

体重は減り、日中に眠気を感じることがかなり減りました。また、朝食を抜くことで朝の支度を時短できました。笑

健康面で多くのメリットを享受できる上、なにより簡単に実践できることが最大のメリットと思います。この食事法、おすすめです。

本書では他にも、具体的なスケジュールのパターンや健康面のメリットが紹介されています。また、厚くなく非常に読みやすい書籍となっています。

「楽して痩せたい」「健康面が心配」という方、この食事法は試す価値しかありません!笑

ぜひ、読んでみてください。 

「空腹」こそ最強のクスリ

「空腹」こそ最強のクスリ

 

 

『理系読書』

駿台予備校講師の著者 犬塚壮志が2020年に執筆した本書。

著者は、時短を徹底した『超合理的な理系脳読書術』により、東大入試よりも難しいといわれている業界最難関の駿台予備学校の採用試験に一発合格(当時、最年少)したそうです。

本書では、最短最速で著者の経験知やノウハウを自分の頭にインストールし、自分の問題解決に役立てる至極の読書術について紹介しています。

キーワードは、文系が知らない「理系の読み方」です。もちろん理系・文系問わず身に付けることが可能です。

それでは、内容を見ていきましょう。

Wanhoの個人的評価

読みやすさ ★★★★
新規性 ★★★★
有用性 ★★★★
おすすめ度 ★★★★

 

理系読書の考え方

重要なのは『どれだけ読まないで済ませるか』であり、速読はできなくてもOK。

著者の経験上、「素早く眼球を動かす方法」や「キーワードだけを拾い上げる方法」は役にたたなかった。自分にとって必要な箇所だけを拾って読むことで、読書にかける時間を短縮することができる。

また、理系読書では『問題解決に必要な情報を得られた瞬間』を読了と定義する。要するに、本全体を読む必要はない。問題解決のための読書で重要なことは「全部読む」ではなく「どこを読むか」であることを意識する。

時間は15分程度なら集中して読書がしやすい。15分で1冊読みきれなかったとしても、15分1セットの読書を数回繰り返す方が、一度に長時間読み続けるよりも記憶しやすい。

超合理化サイクル

理系読書の大枠は次の通り。

  1. 準備する(読む)
    本の中から自分の問題解決に必要な情報を集めて、どんな実験を行うか計画を立てる。
  2. 実験する(やってみる)
    1で集めた素材を使い、立てた計画に基づいて現実世界で問題解決を試みる。
  3. 評価する(確かめる)
    試してみたことがうまくいったのか、いかなかったのか、検証する。うまくいかなかったとしたら、その結果を検証し改善策を立てる。

このサイクルを1周回すと、多かれ少なかれ新たな改善点が見つかる。そしたら今度は、その改善点を修正すべく、新たな読書のサイクルに入る。このステップをぐるぐる回していく超合理化サイクルにより、読書の効果を最大化させていく。

読書の効果を高める3つのポイント

ポイントは以下のとおり。

読書の効果を高めるポイント
  1. 問題意識の明確化
  2. 問題解決した後の理想像の設定
  3. 本から抽出した情報の活用

このうち1つでも欠けていたり、各要素に対する意識が低いと読書の効果が半減する。問題意識がなければ、そもそも何から始めればいいのか判断できない。問題解決した後の理想像を設定していなければ、自分にとって必要な情報が明確にならない。抽出する情報を絞り込まないと、余計な情報にとらわれてしまい、ゴールまで最短距離で上っていくことができない。

これらを意識していれば、読むべき本や読むべき箇所を正しく選択できる。

読書の効果は『理想像の設定』で9割決まる

読書をする前の段階から、読書後に「どんな状態がベストであるか」をイメージしておくことで、本の情報をより高い精度で抽出できるようになり、読んだ内容への理解が深まる。

例えばビジネスシーンにおいての問題解決は、周囲の人から評価されるかどうかが重要である。そのため「どんな評価を得たいか」「どんな状態が評価されているか」をまず明確にし、そのイメージから逆算して、本から抽出する情報の絞り込みを行ったり、実行する内容を決めたりすることが、最短ルートで成果を上げる合理的な読書術である。

情報は絞るが勝ち

超合理化サイクルを回すことを前提とすると、本のすべての内容を「やってみる」「確かめる」まで行うには、膨大な時間がかかってしまう。

大きな成果を得たいと言う意欲や姿勢はもちろん大切だが、自分にとって必要な情報だけを切り取って実行し検証した方が、着実にノウハウや知恵を身に付けることができる。

つまり、最初から最後まで読む必要はない。極端な話、1冊のうち1割程度読んで自分の問題解決に役立つ情報が抽出できれば、残りの9割は捨てても構わない。

特に最近のビジネス書や実用書はクオリティが非常に高く、9割捨てても十分元が取れる情報が抽出できる。最初から本の9割は捨てる覚悟でいること

準備する(読む)

超合理化サイクルの1つ目のステップは『読む』です。ただし、ただ読むのではなく、自分にとって必要な部分だけを抽出し、短時間で読む必要があります。

そのためには、読む前の準備が必要不可欠となります。まずは、この準備について見ていきましょう。

メタデータのチェック

本の内容を素早く正確に読み取るためには文脈を理解してから本を読む方が良い。ここで言う文脈とは、文章のつながりや流れだけでなく、文章を理解する上での前提条件となる背景情報も合わせて指す。

文脈を理解するコツは『メタデータ』をチェックすること。本のメタデータとは、次の7つを指す。

  • タイトル
  • サブタイトル
  • 発行年月日
  • 著者名
  • 著者プロフィール
  • 目次

これらの情報をチェックしておくことで、必要な情報を本文から抽出しやすくなり読む時間を圧縮できる。特にチェックすべき項目は「発行年月日」「著者プロフィール」「目次」の3点。

「発行年月日」は、時代背景を読み取るための重要なポイント。発行年月日を見れば、どの時点での最新情報が書かれている本なのかを知ることができる。

確認したら、その時代の背景を推測しながら読むようにする。これを理解しておかないと、今の時代にそぐわない価値観や考え方、スキルなどを本の中から抽出してしまう可能性がある。

「著者プロフィール」からは、著者の経歴を読み取る。所属組織や専門分野、得意としている分野を把握し、なぜ著者がそのテーマを語るのかを判断する。

「目次」は、全体像を把握し、どの章に何が書かれているかを理解するのに役立つ。また、読まない部分も全体のどこに位置して、互いにどんな関係にあるのかだけは把握しておく必要がある。

ポイントは、『各章にラベルをつける』こと。ラベルは大まかに分けて次の8種類がある。

  • 背景
  • 定義
  • メリット
  • カニズム
  • 方法論
  • ノウハウ
  • 事例
  • その他

1冊の本の中にこの8つすべての内容が含まれているとは限らないが、慣れないうちはこれらのラベルを各章の上に書き込むと良い。全体像と構造を理解したら、自分の問題意識と照らし合わせて、取捨選択していく。

スクリーニング

『スクリーニング』は、背景情報を確認し、あたりをつけた章の本文にざっと目を通すステップ。「著者の得意分野」と「自分の問題意識に対する解決策」が合致する箇所が出てきたらあたり。そんな内容を文章の中から拾い上げるように読んでいく。

スクリーニングのポイントは2つ。

  1. 予測しながら読むこと
  2. 自分の知らない内容に絞ること

まず『予測しながら読む』こと。「こんなことが書いてあるのかな」「自分の〇〇と言う問題意識に役立ちそう」と予測しておく。そうすることで、本の内容をよりスムーズに理解できるようになり、記憶にも残りやすくなる。

次に、『これまでの自分の中になかった情報を優先的に味わう』こと。既に自分の中にあるものを抽出しても、現実世界での変化は期待できないため。

また、書籍の中に「要約」や「まとめ」がある場合は、これらを優先して読むことで内容の理解度を高められる

要約は章や節の最後に載せてあることが多いが、あえてこの要約を読んでから本文を読み始める。要約がない場合、要約の役割を果たす語句を文章中に探す。具体的には「つまり」「要するに」という接続詞に注目する。

仮説を立てる

ここでは、本から抽出した情報を活用して「やってみる」ための仮説を立てる。イメージは簡単なアイデア出し。

本の情報を使ってアイデアを創出するには、自分の知識や経験と本の内容を組み合わせるほかない。本は誰もが手に入れられる一般情報だが、そこから生まれた仮説やアイデアは自分だけのもの。

「この本の情報を使って自分の仕事を改善してみたら、効率が上がるかも」くらいのアイデアでも十分に価値がある。浮かび上がってきたアイデアは本の余白に必ずメモすること。

実験する(やってみる)

ここからは、本から抽出した情報を実践し、経験することで、それをより深く理解し、自分に浸透させていく。単にやってみるだけでなく、今からの情報を自分に合うようにアレンジして、自分ならではの法則やルールを作り、様々な場面で使えるよう目指す。

情報のアレンジ

本から抽出した情報を自分の中に浸透させるには、情報をそのまま使うのではなく自分用にアレンジする必要がある。そのためには、アイデアや仮説を整理して保存する必要がある。クラウドサービスのメモアプリなどに保存し、データとして一元化しておく。データで保存しておけば、持ち運びが楽な上、修正も容易であり、検索して探し出すことができる。

とりあえずやってみる

誰にでも「理屈だけでわからなかったことが実際にやってみたら腑に落ちた」経験があるはず。理解できるかどうかは別として、最速でインストールするためには、実体験をすることが最大の近道。

自分の抱える問題に対して、いち早く納得のいく解を得るために、『とりあえずやってみる』ことが合理的な選択。失敗を恐れずに「やってみないことには何もわからない」「失敗すれば何かが明らかになる」と言う意識を強く持つ。

もし失敗しても「なぜ失敗したのか」「どこが悪かったのか」と分析をし、改善策を考える機会が得られる。初めは小さく試し、少しずつ軌道修正して成功確率を高めていく。小さな失敗をできるだけ早く経験することが、大きな成果を出す最短の道につながる。

即行動を徹底するために

読書すると同時に、目標と期日を設定しておく。ポイントは、本を読んでから即日から1週間以内に実験を開始すること。

読書から実験までの期間が空いてしまうと、本を読んだ直後の強い情熱が徐々に薄れていってしまう。場合によっては、実験に着手することなく別の本を読み始めてしまい、新たにやりたいことが出てくる。そうなれば前の本を読んだ時間は無意味になってしまう。

評価する(確かめる)

ここでは、『やってみる』をした結果どうなったのか、問題解決に至ったのかどうかを評価する。ここで行う評価とは、実験の結果を考察するだけでなく、これまでの作業を振り返って確認し、改善点を探ること

これにより成果の出ない読書を淘汰できる。また、このような評価を得るまでは類書を読んではいけない。問題解決ができていなければ、問題意識はそのままで文書から抽出する情報を代わり映えしない。

ポイントは、行動と成果をセットで評価すること。読書により、「自分の行動がどう変わったのか、それによりどんな成果が出たのか」「行動が原因となり、その結果として欲しい成果が得られたか」「当初の問題は解決できたか」を考察する。

このように行動と成果を合わせて振り返り、その因果関係を捉えて評価する視点が不可欠となる。売り上げや業務時間など具体的で客観性の高い数字に着目し、行動する前と後を比較することで、評価しやすくなる。

【おまけ】積ん読をなくすには?

興味を持って本を買ったのに、読むタイミングを逃してしまい積んだままにしてしまうこと、ありますよね?

これをなくすポイントは本を買ったその日のうちに、スクリーニングまでやってしまうこと

スクリーニングを行うのにかかる時間は5分程度。書き込みや付箋を貼っておけば古本屋に買い取ってもらうことができず積ん読を防ぐことができる。また、新しい本を買うのは前の本を『確かめる』まで行ってからのご褒美にする

感想

いかがでしたか?

本書は、一般に理系が得意とする「合理的な考え方」を読書に応用したノウハウ本となっています。

趣味として本を読むのであれば各々の読み方で構いませんが、残念ながら私たちの自由に使える時間は限られています。特に、忙しい学生やビジネスマンは、この限られた時間の中で多くを吸収し、成果を出すことを目指している方が多いと思います。

本書で『超合理化サイクル』を学び、読書効率を最大化することで、より効果的に本を読んでいくことが可能になります。また、「読書しているのに、知識が身につかない」「もっと効率的にたくさんの本を読みたい」と考えている方にも、おすすめです。

ぜひ、一読ください。

 

 

『なぜ、仕事は予定通りに終わらないのか?』

心理学ジャーナリストの著者 佐々木正悟が2014年に執筆した本書。著者は子供のころからタイムマネジメントを追求し続け、『理想の時間管理術』に出会ったそうです。

私が他のタイムマネジメント系の書籍と比べて面白いと感じたのは、本書は「時間が足りなくなる」のではなく「初めから時間はない」ということを前提とした上で、その足りない時間を活用する方法を紹介しているところ。個人的にはこの意外な事実に驚きました。

本書では、時間管理がなぜうまくいかないのか?を追求した上で、具体的な対応策を紹介しています。監修の大橋悦夫が開発した「タスクシュート」というツールの宣伝のみかと思いきや、このツールに頼らなくても本書で学べることはたくさんあると感じました。

以下、本書で学んだ活用できることをまとめましたので、ぜひ読んでみてください。

それでは、内容を見ていきましょう。

Wanhoの個人的評価

読みやすさ ★★★★★
新規性 ★★★★★
有用性 ★★★★
おすすめ度 ★★★★★

 

なぜ時間が足りなくなるのか

多くの人は「時間が足りない」と口にし、「うまくやれば時間が足りるはず」「ダラダラしなければ時間がないわけではない」と思い込んでいる。しかし、時間はもともと足りないのです。まずは、人が「時間が足りない」と感じる4つの要因について見ていきます。

「余裕がないこと」に気づかない

時間が足りないという事態に陥る原因のほとんどは、「やることが多すぎる」こと。更に深掘りすると、締め切り時間の扱いを間違えていることが原因。

多くの人は「最終の締め切り時刻以外の時刻」を無視しているのです。

例えば11時に飛行機に乗るなら、目標は通常「11時の飛行機に乗ること」となります。しかし実際は、その前に搭乗手続きや朝食、空港まで移動と「連続する行動」が並んでいます。

つまり、私たちはフライトの時刻を知るだけでなく、「搭乗手続き」「朝食」「移動」それぞれの締め切り時刻を押さえておくべきなのです。

改めて考えてみると、何時までに手続きして...何時に朝食とって...、と正確には管理しませんよね。これが問題なのです。

大切なのは準備も予定と定義すること。日ごろから繰り返している歯磨きや食事、会社に着いてすぐのメールチェックなどの行動は、つい優先順位を無視してやってしまいます。繰り返している事は取り組みやすいためです。

また、『現状維持コスト』を無視していることも原因の1つです。ここで指す現状維持コストとは、睡眠時間、食事の時間、トイレに行く時間などの「生理的欲求」や、移動時間や着替える時間、洗濯や掃除の時間を含む「ただ毎日を生きるため」に使うコストのこと。これらは日々生きていくだけでお金がかかるのと同じように、日々生きてくだけで必要な時間、現状維持に必要なリソースでなのです。

問題は、私たちが「現状維持のために時間をどのくらい使っているか」をほとんど意識していないこと。現実には、想像以上に時間を使っており、場合によっては「生きるために必要な時間」を全部足すだけで、睡眠時間を含めると24時間を超えていたりするそうです。

そのような場合すきま時間など元々存在しないため、すきま時間を活用することは不可能となります。

割り込み仕事を優先する

上司が仕事を追加してきたり、後輩が助けを求めてきたり、電話対応しなくてはならないなど、割り込み仕事は「集中するために要した時間」と「再び集中するのに必要な時間」を奪っていきます

ほとんどの人は「仕事への集中が邪魔されたら、再び集中するのは容易でない」ことを知っており、割り込まれることを嫌います。割り込みによって失う時間そのものは、それほどではなくても、それまでやっていた仕事に集中するために要した時間が無駄になった上、その仕事にもう一度集中するのに時間がかかるのです。

また、割り込み仕事と類似していて、仕事を滞らせる主な原因として「仕事からの脱線」があります。仕事のための調べ物をしているつもりが気がつくとネットサーフィンをしてしまったりするのは、典型的な脱線です。これは意識的に休憩をとるのとは違い、休むことにもならず仕事が進むわけでもないため、極めて非生産的な行動と言えます。脱線は自分への割り込みと考えるべきです。

先送りを繰り返す

夏休みの宿題を最終日にやった経験は誰にでもあると思います。このようなことが起きるのは「緊張が高まりすぎて行動を起こせなくなる」ことが原因です。

程良い緊張感はやる気を高め、最高のパフォーマンスを発揮させますが、行き過ぎた緊張感は、体を硬直させ、行動を起こせなくします。プロスポーツ選手ですら、ありえない状況でミスをすることがあります。これは、精神的活動についても同じように起こります。

要するに、「不安になり過ぎること」が原因なのです。締め切りが遠い仕事や山積みされたタスクは、考えただけでも不安になり着手するのが遅れます。夏休みの宿題も「山のような宿題が待っている」といった恐怖感が緊張を招き、勉強部屋に行くのも嫌になるという悪影響をもたらすのです。

この不安の影響は、長期・短期を問わず発生します。難しい仕事で失敗するのではないかと想像すれば、それだけでも手をつける気持ちが萎えてしまいます。

もう一つの原因は「未来の自分に期待し、未来の時間帯に期待しすぎてしまう」こと。人は「今日は無理だけど明日ならできそうな気がする」と考え、未来の自分に期待するのです。もちろんこれは錯覚であり、明日であろうと1週間後であろうと、未来の状況は今の状況と全く同じ状態であると考えなければなりません。

完璧主義になる

完璧主義者は、何でも完璧にしなければひどいことを言われたり、仕事仲間からの信頼を失ってしまうのではないか、という不安に苛まれています。

仕事の完成度と締め切りのバランスを考えるとき、完璧主義者は「どのくらいの完成度にすべきか」がわからず、締め切りよりも「完璧でないものを完成品とする不安」を重く見るため、結果として締め切りを犠牲にしてしまうのです。

それでは、これらの罠にかからないように時間を管理するにはどうしたらよいのでしょうか?

次項では、本書で薦められている「タスクシュート時間術」について見ていきます。

タスクシュート時間術

前述の「時間が足りなくなる4大要因」への対策は、手帳やカレンダーを使って時間管理や計画の見える化をしても不十分とし、本書では、これらの問題への対策として「タスクシュート式」の管理方法を提案しています。

まずは基本ルールです。

タスクシュート式の基本ルール
  • 1日分の仕事を1シートで管理する
  • 「これから行うタスク」と「終えたタスク」を一元管理する
  • 1分以上時間のかかることは全て管理する
  • すべてのタスクの見積もり時間を出す
  • 実測値を記録する
  • 常に「仕事の終わる時間」を見える化する

実際にはExcelで管理していくのですが、一般的な時間管理と異なる点が多くあります。

まず、1分以上時間のかかるタスクとその時間を全て羅列しているため「その日の仕事が何時に終わるのか」を想定できます。場合によっては計画した時点でタスクにかける時間が24時間を超えており、別のことをする「時間がない」と言う事実を見ることになりますが、このようにすることで「生活の余白時間」を自覚できます。

また、1日の時間をシミュレートすることで「いつ、どのタスクを行えばいいか」が明確となり安心が得られます。見積もりの精度は完璧でなくても問題はありません。タスクの「終了時刻が全くわからない」のと「ある程度わかる」のとでは大きな差があります。

それに、すべての行動を1分単位で見積もりするのは、病的と思われるかもしれませんが、「予測と現実のズレがある」と言う現実に気づくきっかけとなります。これに気づくことができないと時間の節約など望めないのです。

タスクシュートのポイント

ポイントは以下の通り。

1分以上時間のかかることは全て管理する

「細かく時間管理しなければならない」と感じるかもしれませんが、タスクシュート式の見積もり時間は単なる予測時間に過ぎず、これは行動計画表ではないため、その通りにしなければならないと言うことではありません。

タスクを終えたら終了時刻を入力し、それによって1日の終了時刻が自動計算されるように設定します。計画時の見積もり時間は単なる予測で、実際に終了時刻を入力した際に見積もりとの差を自覚できればよいのです。そうすることで、次回予測する際に、より正確に見積もりすることができます。

常に「仕事の終わる時間」を見える化する

これにより、計画を立てた時点で無駄があるか、省ける仕事はないか、と考えることができます。また、頼み事をされた時、それが残業時間につながるかどうかを知ることができ、これがわかれば必要のないタスクは断ることができるのです。「とりあえずやる」を防ぐことができるようになります。

「これから行うタスク」と「終えたタスク」を一元管理する

これらを一元管理することで、次おこなうタスクや、すでに終えたタスクを可視化することができます。また、開始時刻も事前に決める必要もありません。前述の通り、あくまでも行動を開始した時間を行動の後に記録するのみです。

ポイントは『タスクは開始したい時に開始し、見積もりは適当に』です。

また、見積もり時間はその日のモチベーションの表れであってもOKです。例えば、今日はやる気が起きないからこの作業は「20分」に設定しておこうなど。

見積もりが適当なら、計画の意味がないのでは?

上記のように疑問に思う方がいると思うのですが(私も思いました)、重要なのは『シミュレーションと記録を同時にやること』です。

シミュレーションをしてから行動し、その行動の記録を残すことで2つのメリットが得られます。

  • 追加タスクをする時間がないことが事前にわかる
  • 自分にとっての「時間の使い方」がわかる
    どのタスクにどのくらいの時間がかかるか、正確に知ることができるため。
もちろん毎日のように繰り返し行うタスクで、見積もり時間と実測の時間に差がある場合は、修正することも必要です。また、他のタスクで吸収するようにしましょう。

 

まとめ

メリットをまとめると以下のようになります。

  • 1日の時間をシミュレートすることで、集中して仕事に取り組む
  • 「とりあえずやる」ことをやめて、時間を有効に配分できる
  • 「今日できること」と「できないこと」を見極められる
  • タスク時間を正しく見積もりできるようになる
  • やるべきタスクをやり抜くための時間調整をするようになる

どれも重要ですよね。

これだけのメリットがあるとすれば、「試して損はない」と思います。

割り込みタスクへの対策

タスクシュート時間術の基本を押さえたところで、ここからは「割り込みタスクに対してどのように対処するべきか」について見ていきます。

記録をつける

脱線を防ぐために最も有効な手段は割り込みの記録をつけること。割り込みタスクを記録することで、「何のタスクをいつ中断したのか」が明確になります。

突然の割り込みタスクによって元々おこなっていた作業が中断されると、前の作業が頭から離れず集中できなくなってしまいます。しかし、割り込みタスクを記録することで、中断する前の作業を「一旦忘れても大丈夫」と考えられるようになります。安心して割り込みタスクに集中できるということです。

割り込みタスクが終わったら元の作業に戻れば良く、その際改めてスタートさせた記録を残すようにします。

具体的な手順は以下の通り。

  1. 割り込まれたらやっていたことを中断し、その記録を残す
  2. 改めてスタートさせた割り込みタスクの記録をつける
  3. 中断した作業に戻るという記録を残す

 

休憩をバッファにしない

割り込みタスクを「休憩」の時間で吸収しようと考えたくなりますが、これはNGで、「休憩」と「バッファ」は明確に分ける必要があります

バッファは計画に余裕を持たせるもの。そして、高い生産性を保つために休憩は必ず必要です。そのため1日は『行動+休憩』でできているという認識を持たなければなりません。

休憩を「何かあったときのバッファ」と考えてしまうと「空きの全くない物置のような空間」と同じになってしまいます。

割り込みを予定する

時間をより効果的に使うために良い方法は、割り込み対応時間をあらかじめ『繰り返しの仕事』として予定すること。

会社にいれば上司や同僚に声をかけられたり部下から質問されたりすることがあると思います。これらは全て「仕事を中断させられる」と言う意味では割り込みです。

これらも時間管理しておかないと、割り込みがある度に計画が崩れていきます。これを防ぐために、あらかじめ予定するのです。そうすることで、突然の依頼にも慌てず対処することができます。

感想

いかがでしたか?

本書では「タスクシュート」という有料ツールを薦めている節はありますが(無料版もあります)、時間術という意味では、このツールがなくても実践できるテクニックがたくさんあったように感じました。

また、簡単なものであればExcelで自作することも可能ですし、本書の巻末にも作成方法が記載されています。

「タスクシュート」では、終了予定時刻がが可視化され、だからこそ時間を節約できるし、節約しようという気持ちになれます。また、短い時間のタスクでも「なぜ残業することになってしまったのかわからない」という状況を確実に減らすことができます。

「自分の時間がない」という悩みをもつ全ての人におすすめできる一冊です。私も明日から活用してみようと思います。

気になる方は読んでみてください!