【書評】Wanhoの読書備忘録

ワンホの本要約ブログ

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『「空腹」こそ最強のクスリ』

医学博士であり、あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長の著者 青木厚が2019年に執筆した本書。 

本書では、2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した『オートファジー』研究をもとに生み出された食事法が紹介されています。私自身も実践していますが、誰でも簡単に実践できる、まさに「奇跡の食事法」と言えるでしょう。

この食事法は、医者でもある筆者が生活習慣病の治療を通して得た知識や経験を踏まえて「どのような食事の仕方であれば、最も無理なく、ストレスなく、病気を避けることができるのか?」を考えた結果、たどり着いたものです。

それでは、内容を見ていきましょう。

Wanhoの個人的評価

読みやすさ ★★★★★
新規性 ★★★★
有用性 ★★★★★
おすすめ度 ★★★★★

 

1日3食は良くない!?

1日3食では本来必要な量の1.5~2倍のカロリーを摂取してしまうことになる。食べ過ぎは内臓の疲れや肥満、疲れ明るさの原因となる。糖尿病や動脈硬化脳梗塞心筋梗塞、がんの原因ともなる。

食べ過ぎや糖質の取りすぎによる様々な害から体を守るには「食事のカロリー数を減らす」「糖質を減らす」など、様々な方法が考えられるが、本書でお勧めされているのは『ものを食べない時間(空腹の時間)を作る』というもの。

空腹の時間を作ると、内臓がしっかりと休むことができ、血糖値も徐々に下がる。また、最後にものを食べてから16時間を超えると、体に備わっている『オートファジー』という仕組みが働くようになる。

オートファジーとは

『オートファジー』とは「細胞内の古くなったタンパク質が、新しく作り替えられる体の仕組み」のことで、細胞が飢餓状態や低酸素状態に陥ると活性化することがわかっている。

そもそも体の不調や老化は、細胞が古くなったり壊れたりすることによって生じる。『オートファジー』によって、これらの細胞が内側から新しく生まれ変われば、病気を遠ざけ、老化の進行を食い止めることができる。

つまり、空腹の時間を作ることで、

  • 内臓の疲れが取れて内臓機能が高まり、免疫機能がアップする。
  • 血糖値が下がり、血糖障害が改善される。
  • 脂肪が減る。
  • 体の不調や老化の進行が改善される。

といった様々な『体のリセット効果』が期待できる。

「食べ過ぎ」のデメリット

NHKが2016年に実施した世論調査によると、平日の1日に3食とる人が85%を占めていた。一方で、「1日3食が理想的である」という考え方には、確固たる裏付けはない。むしろ1日3回食事をとると、胃腸をはじめ、内臓が十分に休むことができず疲弊してしまう。

また、身体や健康に様々なダメージを与えることになる。

「食べ過ぎ」のデメリット
  • 体内で炎症が起きやすい
  • 食べ過ぎを招き肥満になりやすい
  • 高血糖になりやすい
  • 老化が進みやすい

 食べ過ぎが慢性化してしまっている時、人はなかなか「自分が食べすぎていること」に気づかない。「食べた後疲れを感じたり、だるくなったり、眠くなったりする」人は「食べ過ぎている」可能性がある。

食事をした後は少し眠くなったりするのは仕方がないが、疲れやだるさ、眠気がひどい場合には、食べ過ぎている、または胃腸などの内臓が弱っている可能性が高い。

本来、食事と言うのは「健康を維持するために、体に必要な栄養を必要なだけ取り込むこと」であり、1日3食にこだわる必要は全くない

半日断食のススメ

それではどんな食事法をとるべきなのでしょうか?

大事なのは、できるだけ無理なく「空腹の時間」を作り、

  • 胃腸や肝臓等を休ませてあげること
  • 脂肪を燃焼させ減らすこと
  • 血液の状態を改善させること

これらを享受するために筆者がたどり着いたのが「16時間以上、空腹の時間を作ると最大の効果が得られる」というもの。これは半日の断食で実現することができる。

16時間は長いと思う人もいるかもしれないが、睡眠時間とうまく組み合わせることで無理なく実行できる。例えば、1日8時間寝ている人は、あと8時間食べずに過ごせば良い。

加えて、難しく面倒なカロリー計算は一切必要ない。空腹時間以外は、何を食べても構わないし、空腹時間中であっても、ナッツ類などであれば食べてOK。週一回、週末だけ実行するとてもリセット効果が得られるはず。

なぜ「16時間」なのか

最後にものを食べて10時間経つと、肝臓に蓄えられた糖がなくなって脂肪が分解され、エネルギーとして使われるようになる。そして16時間経つと、今度は体の中で『オートファジー』が機能し始める

生活していく中で、古くなったり壊れたりしたタンパク質のうち、排出しきれなかったものは細胞内に溜まっていき、細胞を衰えさせ、様々な体の不調や病気の原因となる。

一方で、人は食べたものから栄養を摂取し、必要なタンパク質を作っている。ところが、何らかの原因で栄養が入ってこなくなると、体は生存するために何とか「体にあるもの」でタンパク質を作ろうとする。

そこで、古くなったり壊れたりした細胞内のタンパク質を集め、分解し、それらをもとに新しいタンパク質を作る。つまり『オートファジー』とは、古くなった細胞を内側から新しく生まれ変わらせる仕組みであると言える。

ただし、食物によって得られた栄養が十分にある状態では、『オートファジー』はあまり働かない。『オートファジー』は、体や細胞が強いストレスを受けた際にも生き残れるよう、体内に組み込まれたシステムであり、細胞が飢餓状態になった時や低酸素状態になった時こそ働きが活性化する。

具体的には、最後にものを食べてから16時間ほど経過すると、『オートファジー』は活性化を始める。つまり、「空腹の時間」を作らない限り、『オートファジー』によって細胞を生まれ変わらせることができない

逆に、週に1度でも「空腹の時間」を作れば、内臓を休める、脂肪を減らす、血液の状態を改善するといった効果に加え、『オートファジー』による細胞の生まれ変わり効果を享受することができる。

奇跡の食事ルール

具体的な「半日断食」のルールは以下の通り。

「半日断食」のルール
  • 「睡眠8時間+8時間」の空腹を実行する
  • 食事の際は、何をどれだけ食べてもOK
  • 空腹時間でも、ナッツ類ならいくら食べてもOK

最初のうちは、空腹の時間が終わった途端、ご飯や麺類、パンなど糖質の多いものや甘いもの、牛肉などを食べたくなる。しかし、体が慣れ『空腹力』が鍛えられれば、少しずつそのようなドカ食いをすることは減っていく。

ポイントは、睡眠時間の前後に空腹時間を組み込むこと。これにより、無理なくまとまった空腹の時間を作ることができる。

例えば「夕食をとって2~4時間後に眠りにつき、6~8時間程度睡眠をとり、起きてから5時間以上経ってから食事をとる」など。

素焼きのナッツであれば、低糖質で塩分も少ない半面、良質な脂肪が含まれている。血糖値の急激な上昇を抑えつつ、少量で満腹感を得やすいという特徴がある。

加えて、ナッツ類は「現代人に不足しがちなビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素がバランスよく含まれている、健康や美容に良い」と近年注目されている。

また、ナッツに多く含まれている不飽和脂肪酸が、『オートファジー』を活性化させることも、まだ研究段階だがわかってきている。

断食のデメリット

この食事法の唯一のデメリットは「筋力が落ちてしまう」こと。この食事法を実行する際には、必ず簡単な筋トレを並行して行うこと

空腹の時間を作ると、1日の総摂取カロリーが減り、体重も減少する。その際、内臓脂肪が分解されるが、同時に人体にとって必要な筋肉も落ちてしまう。

食べ物からエネルギーが入ってこなくなると、体は脂肪だけでなく、筋肉を燃やしてエネルギーに変えようとする。筋肉量が減少すると、基礎代謝量が減るため、帰って太りやすい体質になってしまう。

ただし、筋トレとといっても特別なことをする必要はない。「階段を上り下りする」「腕立て伏せや腹筋、スクワットをできる回数だけやる」といった程度のことで十分。無理のない範囲でやることが重要。

感想

いかがでしたか?

今回は、「ストレスなくダイエットでき、病気を避け、健康な体をつくるための食事法」を紹介しました。

冒頭でも述べた通り、私自身も1年ほど実践しており、効果を実感しています。具体的には「夕食は20時までに済ませ、朝食は抜き、昼食を12時に食べる」だけです。空腹時(私の場合は夕食前)は無縁のクルミを食べて過ごしています。

体重は減り、日中に眠気を感じることがかなり減りました。また、朝食を抜くことで朝の支度を時短できました。笑

健康面で多くのメリットを享受できる上、なにより簡単に実践できることが最大のメリットと思います。この食事法、おすすめです。

本書では他にも、具体的なスケジュールのパターンや健康面のメリットが紹介されています。また、厚くなく非常に読みやすい書籍となっています。

「楽して痩せたい」「健康面が心配」という方、この食事法は試す価値しかありません!笑

ぜひ、読んでみてください。 

「空腹」こそ最強のクスリ

「空腹」こそ最強のクスリ