【書評】Wanhoの読書備忘録

ワンホの本要約ブログ

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『アンガーマネジメント11の方法』

ロナルド T. ポッターエフロンとパトリシア S. ポッターエフロンが「アンガーマネジメント」をテーマとして2016年に執筆した本書は、多様な怒りを簡潔に整理し解説した啓蒙書となっています。

怒りを11種類に分け、それぞれの「怒りスタイル」のポジティブやネガティブな側面(かかるコスト)、変わるために必要な考え方、怒りをうまく使うための秘訣を紹介しており、怒りについて理解を深めることで、自身で怒りのマネジメントを可能にすることを目指しています。

それでは、内容を見ていきましょう。

Wanhoの個人的評価

読みやすさ ★★★★
新規性 ★★★★★
有用性 ★★★★
おすすめ度 ★★★★

本書のハイライト

怒りとは

怒りは大切な感情であり、感情のメッセンジャーである。

怒りが伝えるメッセージとは「何かがうまくいっていない」「何かが自身の行く手を阻んでいる、それに対して何か対策せよ」など。

実際、怒りの主たる目的は2つ。明らかに何かが問題であると自身に伝えること。そして、その何かを変えようとする活力を与えること。

怒りは自身にメッセージを伝え、活力を与えるが、その状況の扱い方や具体的な計画を示してはくれない。各怒りスタイルには、それぞれの扱い方がある。

11の怒りスタイル

怒りのスタイルは、「隠された怒り」「爆発的な怒り」「慢性的な怒り」の3つに大別される。

1、隠された怒り

「怒り回避」「陰険な怒り」「内に向けられる怒り」の3タイプ

自分が起こっていると認識しない時、あるいは自分の怒りを過小評価している時、怒りは隠されていると考えられる。

「怒り回避」をする人は自分の怒りを全く見ようとせず、それを人に見せようともしないため、この仮面を剥がすのは至難の業である。

「陰険な怒り」方をする人は、混乱や延期、不精といった仮面で自分の気持ちを隠す。

「内に向けられる怒り」タイプの問題は、どれくらい怒っているかを十分に理解していないこと。彼らは自分の怒りを人に向けて表現することを自分で許すことができない。

2、爆発的な怒り

「突然の怒り」「恥に基づく怒り」「意図的な怒り」「興奮するための怒り」の4タイプ

爆発的に怒りを示す人は、彼らの怒りは急で、大げさで、時に危ない性格の人として知られている。

「突然の怒り」は、制御不能と急な激情を特徴とする爆発的な怒りスタイル。「恥に基づく怒り」もこれに該当する。

恥を感じやすい人は、突如攻撃されたと感じては、自らを守ろうとして反撃する。

故意に怒る人は自らが手にしたいものを得るために「ひどく怒っていること」を相手に示そうとする。

興奮するために怒る人は、大量のアドレナリンを欲しており、大声で精力的に言い争うことにより、ある種のハイな状態になろうとする。

3、慢性的な怒り

「習慣的な怒り」「恐れに基づく怒り」「憤り/嫌悪」「道徳的な怒り」の4タイプ

このスタイルの人は長い期間怒りを煮詰めている。他のスタイル同様、なかなか怒ることを止められない。

「習慣的な怒り」は、怒りが習慣化しているため怒りを止めることができない。

「恐れに基づく怒り」は、人を疑り深くさせ、妄想的になっていることがある。

憎悪する人は、怒りの気持ちから離れられず、その怒りが心に突き刺さってしまっている状態。

「道徳的な怒り」をする人は、終わりなき正義の戦いに巻き込まれている。

アンガーマネジメント

アンガーマネジメントにおいて重要なのは、「柔軟性」を持つこと

怒りを表す様々な方法のいずれも、いつも正しいとか間違っているということはない。人は、特定の怒りスタイルを好みがちであるが、それぞれの怒りスタイルは、賢く使うことができると価値がある。

目指すべきなのは「それぞれの状況で、どのスタイルを、如何に使えば良いか」を今よりも上手に決められるようになること。

そのためには、怒りには以下のような特徴があると捉えること。

怒りを上手く扱う人の特徴
  1. 柔軟性を持ち、複数の怒りスタイルを使う
  2. 怒りは人生の中でごく普通のものとして扱う
  3. 怒りは実生活の中で問題が起きていると知らせる信号として扱う
  4. 怒った際の行動は慎重に選ぶ
  5. 制御不能にならないよう、怒りをほどほどに表す
  6. 目標は、怒りを表すことではなく問題を解決することと考える
  7. 怒りを他社が理解できるように明確な方法で伝える
  8. 怒りは一時的なものと考え、しがみつかない

また、自分の怒りを効果的に伝える方法の1つは、「何が自分を困らせているか」を明確に相手に伝えること。その際、以下のように「私」を主語にする。

あなたが(特定の行動)をする時、私は(特定の気持ち)を感じ、そして私は(特定の目標)を望んでいる。

例えば、「あなたが9時に帰宅すると言って真夜中になっても戻らない時、私は心配するし怒りを感じる。もし遅れるならば10時までに電話をしてほしい。」のように伝えるようにする。

感想

本書からは、「怒りは誰にでも生じるものであり、善悪はないもの」ということを学びました。重要なのは、怒りを自分に対するメッセージと考え、その感情を如何に有効活用できるかということだと思います。

自分の考え方や振る舞い方のパターンを知ることで、自分の人生をより豊かにすることができると感じました。過度な怒りや不要な怒りをコントロールし、適切な場面で有効な怒りスタイルを使うことで、以前より効果的な方法で周囲に影響を与えることができると思います。

本書は「怒りを上手に扱う方法」を学びたい人には必読の1冊と思います。

ぜひご一読ください。

目次

第1部 導入(怒りの諸問題と怒りスタイル)
第2部 隠された怒りスタイル
第3部 爆発的な怒りスタイル
第4部 慢性的な怒りスタイル
第5部 結論(結論:怒りを解消しよう)

著者

ロナルド T. ポッターエフロン

米国ウィスコンシン州オークレール在住の精神療法家であり、アンガーマネジメントの専門家。他にも「アルコールと薬物についての研究」やアンガーマネジメント、恥と罪悪感、嗜癖化過程に関してセミナーを行っている。

パトリシア S. ポッターエフロン

米国ウィスコンシン州オークレール在住の精神療法家であり、うつや物質乱用治療の専門家。