【書評】Wanhoの読書備忘録

ワンホの本要約ブログ

「本の要約」をわかりやすく書いていきます。

MENU

『要点を理解して、きちんと自分の知識にする読書の習慣』

著者である宮口公寿氏は独自の記憶術を編み出し、東京大学薬学部に合格後、首席クラスで卒業。この記憶術を宮口式記憶術として1万人以上の指導実績があり、現在もセミナーを通じて普及・指導に努めている方です。

そんな宮口氏が2010年に著した本書の目的は、「読書という行為から本を取る方法」「かけた時間とお金を何倍にもして取り返す方法」を示すこと。

少し大げさに感じますが、読書法のポイントは押さえられており、読書によって知識を得るための方法はしっかり論じられています。個人的には、読書初心者向けに「本の読み方」を紹介しているというイメージです。

全205ページとコンパクトにまとめられており、さらっと読むことができる内容です。重要な点のみ、まとめましたので、以下ご覧ください。

それでは、内容を見ていきましょう。

個人的評価

読みやすさ ★★★★★
新規性 ★★★★★
有用性 ★★★★★
おすすめ度 ★★★★★

 

読書に関する誤った考え

本を読み飛ばす罪悪感

人は購入したのに読んでいない本があると、また本の中で一部でも読まない部分があると、罪の意識を感じる。強迫観念とも言えるこの罪悪感が私たちに不安や不快感をもたらす。

この『強迫観念』を取り除く最も良い方法は、目的意識を明確化すること。何のためにその本を読むか?ということを常に認識する。

要するに、その本を読む目的がはっきりしていれば、目的に沿わない内容を読み飛ばしても罪悪感を感じない、ということ。

「この本から〇〇の知識を得たい」→「△△の部分は必要ないから読み飛ばしてOK」

裏を返せば必要のない部分を読み飛ばすことで時間を節約し、他に有益な時間を過ごすことができる

目的を明確にするには?

衝動に駆られて本を購入するとき、頭の中に関心のあるトピックがあり、そのセンサーに触れたものが大きな印象として焼き付く。この購買衝動を起こさせるトピックが、自身が本を読む目的である可能性が高い。

本を買った(または借りた)ときの感情を思い出し、何に興味を持ったのか?何を知りたいと感じたのか?を自身に問うことで、その本を読む目的をはっきりさせる。

 目的を明確化し準備が整ったら、具体的な読書方法について述べたいと思います。

宮口式読書法

一般的に理解の過程は、空っぽのコップに知識という水を注ぎこむことと思われている。しかし、記憶と理解は表裏一体。はじめに漠然とした世界から知識がフォーカスされてくる過程があり、蜘蛛の糸のような柔らかいものを張っていく。クロスワードパズルを埋めていくように、これが徐々にしっかりとしていく。

要するに、概要を理解してから細かい部分を明らかにしていくということ。最初から綿密にやらないことが重要。

例えば、分厚くて難解な本を理解するには、理解できる部分から読んでいく。理解できる部分がない場合は、本全体にさっと目を通す。これにより「どこがわからないか」を理解する。

準備編

目的を決める

本を読む前に、少し大きめの紙に「この本を読む目的」を書く

読書に夢中になるとどうしても脱線したくなる。そのために目的を確認する。

読んでいる間に目的が変化したら、その目的を紙に追加していく。

これによって最初わかっていなかった真の目的がはっきりしてくることがある。その目的をクレド(信条)にまで高めていくようにする。

付箋を貼る

気になったところに付箋を貼る

重要なポイントに付箋を貼っておけば、後で読み返すことが楽になる。読み終わったら、その先の張ったところだけ流し読みする。すると、関連知識(付箋が貼っていないところまで)も思い出すことができる。

人間は覚えられないのではなく思い出せないだけ。思い出すきっかけがあれば比較的容易に思い出すことができる。

余裕がある場合、しばらく経ってからもう一度流し読みすると、さらによい。

実践編

目次を読む

本を理解するには、冒頭の目次にあるすべての見出しを詳細に読む。

著者は何を言いたいのか、自分が既に知っているところは何か、知らないところは何か、何を得たいか、どこに興味が持てるかなどを明らかにする。

斜め読み(1回目)

目次をじっくり見た後、1回目の読書は全体像を掴むことに専念し、目次で考えたことを明確に意識しながら1冊30分~1時間で読んでいく。ここでは、「早く読むこと」と「ある程度理解すること」を両立させる。

読み終わったら、付箋を貼った部分を何度か読み、頭の中で要点と言うべきストーリーが再構築できるかを確認する。ここでは、他人にアウトプットできる状態にする

じっくり読む(2回目)

2回目の読書で、前段階で気になっていたところを再度読む。

深掘りしたいものが出てきたときにはネットなどで調べる。気になった言葉を検索しながら読んでいくと、物事を多角的にとらえることができる。

問題解決シートを作成する(おまけ?)

時間があって、解決したい問題が複雑な場合、問題解決シートを作成するフェーズを設ける。既に貼ってある付箋ごとに、どんなことが問題かメモをしていく。

その付箋を集めてA4の紙に貼っていき、マインドマップをつくる要領で、付箋同士の位置関係を注意しながら、問題のどの部分がカバーされているか検討していく。

中心には本を読む目的、問題設定を書き込んだ付箋を貼り付ける。新しいアイディアも追加していく。

自分の問題がこの読書で解決しているか?避けているところはないか?新しいアイデアが出たのか?を見える化する。

宮口式の考え方

知識は芋づる式のようになっており、一度読んだ知識は意識していなくても案外かなり覚えているもの。

正確には、何を読んだか忘れてしまうのではなく、何を読んだか思い出せないのである。

何度か読んでいれば、さっと見ただけで何を読んだか思い出すことができる。聞かれても思い出せないけど、言われると思い出すこと、ありますよね。笑

感想

いかがでしたか?

『宮口式読書法』は要するに、

目的を明確にして一度流し読み(30分~1時間)
→ 2回目は気になるところをじっくり読む 
→ A4の紙にマインドマップのようにまとめる

というもの。

革新的とは言えませんが、正しい読書法と思います。

ポイントは、気になる部分へはどんどん付箋を貼っていくこと。繰り返し読む際は、付箋の貼った部分を中心に読んでいけばよいと思います。目的を明確化することで、付箋の貼っていない場所は積極的に読み飛ばせますね。

冒頭でも述べたように、読書に慣れていない方にはおすすめです。読書スピードを上げ、理解力を上げることができると思います。

ぜひ、読んでみてください。

 

要点を理解して、きちんと自分の知識にする読書の習慣 (アスカビジネス)

要点を理解して、きちんと自分の知識にする読書の習慣 (アスカビジネス)

  • 作者:宮口 公寿
  • 発売日: 2010/02/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)